京都の禅寺・閑臥庵(かんがあん)と、京仏師・冨田工藝をはじめとする伝統文化の担い手が立ち上げた「ミライミロクプロジェクト」が、2026年10月20日(火)からCAMPFIREでクラウドファンディングを実施しています。支援総額は開始から3日間で500万円を突破しました。目標金額3,000万円の約20%にあたる支援が、72名から寄せられています。
返礼品には、閑臥庵に伝わる伊藤若冲の寺宝で、現存する十二支版木を使った木版画があります。この木版画は金襴佛表軸装の掛け軸に仕立て、プロジェクト限定かつ完全受注で制作されます。このほか、弥勒菩薩の胎内に支援者の名を納める「胎内銘」など、全20種類以上が用意されています。プロジェクトには閑臥庵のほか、仏師、和紙問屋、酒蔵、書道家などとともに、ZIPANG(奈良県生駒市、代表:中川 巧)が参画しています。

寺院と職人の仕事を未来へつなぐ取り組み
全国の寺院では、信徒の高齢化と減少、後継者不足、維持費の不足を背景に、維持が難しくなる例が増えています。350年以上の歴史をもつ閑臥庵も同じ状況にあり、崇敬会や氏子の数が高齢化とともに減っています。そのため、建造物と寺宝を守り続ける体制の維持が年々難しくなっています。同じことは、仏像を彫る仏師、仏具を納める工房、和紙や表具に携わる職人など、寺院を支えてきた職人の世界でも起きています。寺院の維持は、こうした伝統文化に携わる人々の仕事の存続にも直結しています。
そこでプロジェクトは、クラウドファンディングを通じて弥勒菩薩を新たに造立し、閑臥庵へ奉納することを目指しています。「祈りの空間」を未来の世代へ手渡すとともに、人々が祈りの場に関わる機会や文化に触れる機会をつくることがねらいです。第一回となる今回は、伊藤若冲の木版画や胎内銘をはじめ、閑臥庵と共に21種類の返礼品を用意しました。実施はAll-in方式で、目標金額に満たない場合でも弥勒菩薩の奉納を実行し、返礼品を届けるとしています。

祈りとともに受け継がれてきた若冲の十二支版木
閑臥庵には、江戸時代を代表する絵師・伊藤若冲による「十二支木版画」の版木が残されています。若冲は売茶翁や相国寺の禅僧・大典顕常ら、当時の京都を代表する禅僧・文化人と深く交流していました。安永2年(1773)、58歳の若冲は黄檗山萬福寺を訪れ、第20代住持・伯珣照浩(はくじゅんしょうこう)と出会います。伯珣は若冲に「革叟(かくそう)」という道号を授け、自らの僧衣を与えました。この伯珣照浩は、閑臥庵の歴代住持の一人でもあります。
若冲の絵は襖絵や屏風として多くの寺社に残されていますが、木版画の版木が現存するケースは極めて珍しいとされています。一般に、木版は長い年月のなかで摩耗や破損、散逸などによって失われることが多く、江戸時代の木版が今日まで現存していること自体が極めて稀少だといいます。閑臥庵の版木は、寺宝として保存されてきただけではありません。鎮宅霊符神の星祭りでは古くから、参拝者一人ひとりの生まれ年の干支に応じた絵を摺り、お守りとして授けてきました。芸術が信仰と結びつき、祈りの道具として守り伝えられてきたことが、この十二支版木の最も大きな特徴だといいます。
今回は明治40年(1907年)創業の和紙問屋「カドカワ株式会社」とともに、この十二支の木版画を、仏教的な荘厳さを表す軸装形式「金襴佛表」に仕立てます。なお、十二支のうち「牛」だけは、閑臥庵第十四代住職・王谷の作と伝わっています。版木の破損によるものか散逸によるものか、明確な記録は残っていません。ただ、失われた「丑」を補い、十二支を未来へつなぎ止めるために制作されたものと考えられています。プロジェクトでは、この由緒・経緯を理解・了承できる方のみに支援をお願いするとしています。
弥勒菩薩の胎内に名を納める「胎内銘」
もう一つの返礼品「胎内銘」では、支援者の名前を胎内木札または巻物、あるいは胎内奉納帳・巻物に記し、弥勒菩薩の胎内に納めます。仏像の内部は空洞になっており、平安・鎌倉の時代から、造立に関わった人々の名や願いが胎内銘として納められてきました。弥勒菩薩は、釈迦の入滅から56億7000万年後にこの世に現れて人々を救うとされる未来仏です。胎内に名を納める機会は仏像の造立という節目にしか生まれず、一般に開かれることはほとんどないとされています。

プロジェクトの概要
プロジェクトの実施主体は、閑臥庵、冨田工藝、ミライカナイ、369Miroku Mind、平井商店、MAGC LAMP DESIGHN、ZIPANG、株式会社カドカワ、ナカムラユウシによるミライミロクプロジェクトです。概要とスケジュールは次のとおりです。
- 名称:京都閑臥庵 【弥勒菩薩×伊藤若冲】日本文化を《未来へと繋ぐ》奉納プロジェクト
- 募集期間:2026年10月20日(火)〜2026年11月30日(月)
- 目標金額:30,000,000円
- 支援金の使い道:弥勒菩薩の造立・開眼法要に関わる費用 約2,000万円、返礼品制作費・配送費 約250万円、CAMPFIREへの手数料 約750万円
- 2027年2月頃:胎内名の納入式
- 2027年4月以降:奉納、開眼法要、順次リターンの配送開始、弥勒菩薩を閑臥庵へ奉納
スケジュールは変更になる可能性があり、お届け時期に影響が出る場合は活動報告などで事前に知らせるとしています。運営会社のZIPANGは2014年4月設立で、関西を拠点にレンタルスペース&BBQ施設「afu」「空花テラス」や、有形文化財を生かした宿泊施設、イベントなどを企画・運営しています。
出典:ZIPANG