「家族写真」をテーマに独自の作品を撮り続けてきた写真家の浅田政志さんが、神奈川県内の町を訪ね歩くプロジェクト「カナガワ ポトガラヒー」。浅田さんが各地で写真に残したい人や風景、町を撮影し、地域の魅力を発信する旅です。2026年度は中井町と箱根町が舞台となり、その成果を披露する「カナガワ ポトガラヒー 出張浅田撮影局|箱根編」が、2027年1月16日(土)から3月22日(月・休)まで、彫刻の森美術館内の「丸太広場キトキ」で開かれます。
会場では、好評を得た2025年度の開成町・真鶴町の作品もあわせて展示されます。開成編・中井編・真鶴編を同時展示し、4つの町の写真がすべて一堂に集まります。展示は公益財団法人 彫刻の森芸術文化財団の協力により行われます。

明治の土産物「横浜写真」をモチーフに、現代の神奈川をレトロに描く
「ポトガラヒー」とは、写真が日本に上陸した当時の「photography(フォトグラフィー)」の呼び名です。かつての写真師たちは重い写真機を担ぎ、心ひかれる景色を探して歩きました。日本に写真技術が伝わった時代の初期写真に強い関心を持つ浅田さんは、日本の写真発祥の地のひとつである神奈川(横浜)で、昔の写真師のように旅をしながら出張撮影を行うこの企画を「カナガワ ポトガラヒー」と名付けています。
今回の企画タイトルは「出張浅田撮影局」。浅田さんの故郷・三重県津市と同じく日本の写真発祥の地である神奈川の風景と人を、明治時代に外国人向けの土産物として人気を集めた手彩色の風景・風俗写真「横浜写真」をモチーフに、当時の雰囲気で切り取ります。撮影した写真は、古いモノクロ写真に色をのせた「横浜写真」のようなレトロな雰囲気の「ポトガラヒー」に仕上げて展示されます。浅田さんの魅力でもある被写体との交流や撮影地の地域性などを織り込んだ撮影を通して、神奈川県各地の魅力を写し出します。
浅田さんが語るプロジェクトへの思い
浅田さんは、江戸時代末期に海外から伝わった写真を日本人も撮れるようにと努力を重ねた人々がいたこと、そして指先一つで誰でも簡単に撮れる今の時代がその努力の上にあることに触れています。また、モノクロ写真に手作業で着彩を施した「横浜写真」に強く魅力を感じているとも語ります。横浜のKAAT神奈川芸術劇場で展示をしたことがきっかけとなり、当時の写真師と同じ熱量で、現代のカメラを手に県内の市町村を巡るこのプロジェクトが始まりました。これまでに4つの町を巡ってきた浅田さんは、「懐かしく新しい、神奈川県でしか撮れない写真たちをぜひご覧いただきたい」とコメントしています。

写真集「浅田家」から映画化まで。浅田政志の歩み
浅田さんは1979年三重県生まれ。日本写真映像専門学校研究科を卒業し、スタジオアシスタントを経て独立しました。自身の家族が消防士、レーサー、ラーメン屋、お葬式などさまざまな職業や状況に扮した写真集「浅田家」(2008年赤々舎刊)で、第34回木村伊兵衛写真賞(2008年度)を受賞。東日本大震災で津波被害にあった写真の救済活動に取り組み、その記録をまとめた「アルバムのチカラ」(2015年赤々舎刊)も高く評価されました。
2020年には、この2冊を原案に浅田さんの半生と家族の形を描いた映画『浅田家!』(二宮和也主演)が公開され、ワルシャワ国際映画祭で邦画初の最優秀アジア映画賞を受賞するなど、各国の映画祭で話題を呼びました。ロバートの秋山竜二さんが架空のクリエイターに扮する人気コンテンツ『クリエイターズファイル』や雑誌、広告写真の分野でも活躍するほか、「浅田撮影局」名義で個人の撮影も手がけています。2025年4月には、故郷・三重県津市の四天王寺内に「ポトガラヒースタジオ」をオープンしました。

開催概要とイベント情報
神奈川県民ホールは休館中、県内33市町村全地域の文化施設や公共スペースへと活動の場を広げる県域展開事業を進めています。オペラ、邦楽、ジャズ、そして写真展と、クラシックの枠を超えた多彩なジャンルで、日常の中に「心躍る瞬間」を届けることを掲げています。この県域展開事業における文化活動『KANAGAWA 33 ACT』を県内の人々により身近に感じてもらえるよう、ロゴマークとコミュニケーションワードも策定されました。
- 企画名:カナガワ ポトガラヒー 出張浅田撮影局|箱根編(同時展示:開成編・中井編・真鶴編)
- 日時:2027年1月16日(土)~3月22日(月・休)9:00~17:00 ※年中無休(初日は10:00~/入館は閉館の30分前まで)
- 会場:彫刻の森美術館 丸太広場キトキ(神奈川県足柄下郡箱根町ニノ平1121)
- 電車:箱根登山鉄道「彫刻の森」駅下車 徒歩2分
- バス:小田原駅・箱根湯本駅からバス「二の平入口」下車 徒歩6分
- 自動車:西湘バイパス箱根口ICから約20分 有料駐車場300台(3時間まで500円)
- 料金:美術館入館料 一般2,000円、大学生・高校生1,600円、中学生・小学生800円、未就学児無料 ※本展示への入場料金は入館料に含まれます
- 主催:神奈川県立県民ホール(指定管理者:公益財団法人神奈川芸術文化財団)
- 共催:公益財団法人 彫刻の森芸術文化財団
- 後援:箱根町・箱根町教育委員会
初日の1月16日(土)には関連イベントも予定されています。10:00~11:00には展示会場の丸太広場キトキで完成お披露目会を行い、浅田さんとともに撮影を振り返ります。続く13:30~14:30のトークイベントでは、浅田さんがポトガラヒーのことや、写真を通した活動とそこに込める思いについて語ります。
撮影には、芦之湖漁業協同組合、一般財団法人箱根町観光協会、金太郎茶屋、群舞 箱根ソーラン座、娯楽センター七福、彫刻の森美術館、箱根甘酒茶屋、箱根大平台温泉組合 姫之湯、箱根観光ガイド協会、ハコネマウンテンリッパー、箱根湯本観光協会、箱根湯本芸能組合、浜松屋、よこやまボート、そして箱根町のみなさんが協力しています。