小説家・朝井リョウさんのエッセイシリーズ「ゆとり三部作」の累計発行部数が、70万部を突破しました。対象は株式会社文藝春秋から刊行されている『時をかけるゆとり』『風と共にゆとりぬ』『そして誰もゆとらなくなった』の3作で、単行本、文庫、電子書籍をあわせた数字です。

14年にわたって愛され続けるロングセラー
初エッセイ集から始まったシリーズ
シリーズ第一作『時をかけるゆとり』は、朝井さんにとって初めてのエッセイ集です。大学生活から就職活動、社会人としての日々までがつづられています。もともとは2012年6月に単行本『学生時代にやらなくてもいい20のこと』として発売され、2014年12月にタイトルを改めて文庫化されました。
第二作『風と共にゆとりぬ』は、2017年6月に単行本が発売され、2020年5月に文庫化。収録エピソードの「肛門記」は、昨年9月に行われた感想募集キャンペーンで、読者のお気に入りエピソードとして圧倒的1位に選ばれています。
第三作『そして誰もゆとらなくなった』は、2022年8月に単行本として登場しました。昨年7月の文庫化にあわせて書き下ろしエピソード2本が追加され、三部作の中で最もボリュームのある一冊となっています。
文春文庫に3作がそろい「ゆとり三部作」に
新刊の発売や文庫化のたびに新しい読者を増やし、重版を重ねてきたこのシリーズ。昨年からは3作すべてが文春文庫のラインナップに加わり、「ゆとり三部作」として快進撃を続けています。便意との戦い、恥辱のダンスレッスン、狂気のサイン会など、朝井さんの「小説以外のほぼすべて」が詰まった内容です。

Xでの投稿をきっかけに話題が広がる
注目が一気に高まったのは昨年9月です。アイドルグループ「カラフルスクリーム」のかれんさんが、文庫『そして誰もゆとらなくなった』について「著者紹介で笑い取ってくるのズルい」とXに投稿したところ、大きな反響を呼び、朝井さんのエッセイに関心が集まりました。
さらに今年4月、朝井さんは『イン・ザ・メガチャーチ』で2026年本屋大賞を受賞。書店の店頭やテレビなど、さまざまなメディアを通じて朝井さんを知った多くの人が、同作と一緒に「ゆとりシリーズ」を手に取る現象も起きています。
今年10月には、出版社で働くれなさんによる文庫『そして誰もゆとらなくなった』をめぐる一連のXポストが大バズりしました。投稿では、病院の待合室でカバンに入れていた同作を読んでいたところ「あまりに面白くて10分で3回は吹き出した」と語られ、「電車とか病院とかはやめた方がいいと思うよ。完全に不審者になるからさ……!」とも添えられています。これを受けて同作はいわゆる“チャート逆走”の様相を見せ、10月9日にAmazon総合1位を獲得しました。
シリーズは今年6月に55万部突破が伝えられており、そこから5か月あまりで70万部の大台に到達したことになります。

著者プロフィールと書誌情報
朝井リョウさんは1989年、岐阜県生まれ。2009年に『桐島、部活やめるってよ』で小説すばる新人賞を受賞してデビューしました。12年に『何者』で直木賞、14年に『世界地図の下書き』で坪田譲治文学賞、21年に『正欲』で柴田錬三郎賞を受賞し、『イン・ザ・メガチャーチ』で2026年本屋大賞を受賞しています。ほかに『スター』『武道館』『生殖記』など多数の著作があります。
- 『時をかけるゆとり』(文春文庫):定価(紙版)770円(税込)、電子版価格601円(税込)、2014年12月4日発売、ISBN 978-4-16-790253-7
- 『風と共にゆとりぬ』(文春文庫):定価(紙版)825円(税込)、電子版価格730円(税込)、2020年5月8日発売、ISBN 978-4-16-791495-0
- 『そして誰もゆとらなくなった』(文春文庫):定価(紙版)825円(税込)、電子版価格800円(税込)、2025年7月8日発売、ISBN 978-4-16-792386-0
出典:株式会社文藝春秋