AIを活用したカーボンデータ管理とサステナビリティ変革の支援を手がけるグローバルスタートアップのZevero Pte. Ltd.(本社:シンガポール、日本法人:株式会社Zevero、代表取締役:谷内 樹生、以下「Zevero」)は、Jリーグ加盟のプロサッカークラブ・名古屋グランパス(株式会社名古屋グランパスエイト)の温室効果ガス(GHG)排出量の算定と削減目標の設定を支援した。算定結果と削減目標は、2026年10月9日にクラブから公表されている。
ホームゲーム開催時の算定から「クラブ全社」へ
名古屋グランパスは、名古屋市・豊田市・みよし市を含む愛知県全域をホームタウンとするクラブだ。「グランパス気候チャレンジ」の枠組みを推進しており、その一環としてトヨタ自動車株式会社とともに「グランパス カーボンニュートラルアクション with TOYOTA」に取り組んでいる。これまでは、ホームゲーム開催時のCO₂排出量を算定してきた。
今回は削減施策を検討するための基盤づくりとして、算定の対象をクラブ全社の事業活動に広げ、CO₂以外も含めたGHG全体を初めて可視化した。算定はGHGプロトコルに基づき、Scope1〜3の事業活動全体を対象としている。さらに任意算定項目として、ファン・サポーターの来場(移動・宿泊)に伴う排出量も推計し、スポーツクラブ特有の排出構造を明らかにした。
スポーツ界では、Jリーグが今シーズンから「Sport Positive League」に参画するなど、気候変動への対応について評価や情報開示が求められつつある。
総排出量は4,585.44 tCO₂e、最大の排出源は「調達」
2025年度(2025年2月〜2026年1月)のクラブ全社の総排出量は、マーケット基準で4,585.44 tCO₂eだった。区分ごとの内訳は次のとおり。
- Scope1(直接排出):115.21 tCO₂e(構成比2.51%)
- Scope2(購入電力等):193.44 tCO₂e(構成比4.22%)
- Scope3(サプライチェーン):4,276.79 tCO₂e(構成比93.27%)
- 合計:4,585.44 tCO₂e(構成比100%)
- (参考・任意算定)ファン・サポーターの移動・宿泊:7,816.84 tCO₂e
算定から見えてきた3つのポイント
まず、「購入した製品・サービス」が総排出量の82.86%を占め、最大の排出源となった。なかでも、グッズ販売関連と日常の事業運営に関わる調達が大きな割合を占めている。
次に、ファン・サポーターの移動・宿泊による推計排出量は7,816.84 tCO₂eで、クラブの事業排出を上回った。両者を合わせた12,402.28 tCO₂eの約63%に相当し、観戦者1人あたりでは平均12.75 kgCO₂eとなる。また、Scope2はロケーション基準とマーケット基準の差が小さく、再エネ電力の調達によって削減できる余地があることもわかった。
こうした結果を踏まえ、名古屋グランパスは2035年までにScope1・2排出量を2025年度比68%削減し、2050年までにScope1〜3でネットゼロを目指す目標を掲げている。
プラットフォームとコンサルティングで算定から目標策定まで一貫支援
Zeveroは今回の取り組みを、排出量の算定から削減目標の設定までを一貫して行うプロジェクトとして推進した。自社プラットフォームとコンサルティングを組み合わせた主な支援内容は以下のとおり。
- GHGプロトコルに基づく全社算定:Scope1〜3の算定範囲の整理、データ収集、排出係数の割り当て、集計
- Scope2の二基準算定:ロケーション基準とマーケット基準の両方で算定
- ファン・サポーター来場排出の推計:観戦者アンケートと環境省の排出係数をもとに、移動・宿泊に伴う排出量の推計を設計
- 削減の優先領域の特定と目標設定:排出量の多いカテゴリーを分析し、それを踏まえて2035年・2050年の削減目標を策定
目標の策定にあたっては、親会社であるトヨタ自動車株式会社の目標や、SBTi(Science Based Targets initiative)の目標設定基準との整合を重視した。スポーツクラブの排出は、グッズ調達やファンの移動など、自社の管理範囲の外に大きく広がっている。今回のプロジェクトでは、Jリーグが参画する「Sport Positive League」の評価指標も踏まえて算定と目標設定を進めたという。Zeveroは今回得た知見を生かし、スポーツ・エンターテインメント業界の脱炭素化を引き続き支援していくとしている。
出典:株式会社Zevero