福岡市中央区大名のYUGEN Gallery FUKUOKAで、佐野直とocaveによる二人展「memento」が2026年11月21日(土)から12月20日(日)まで開かれます。精緻な点描で絵画を描く佐野と、ウールやコットンを用いた織りや、切り分けたフェルトの再構成などによってテキスタイル作品を手がけるocave。手法の異なる二人が、それぞれの視点で捉えた「風景」を一つの空間に並べます。入場は無料です。

風景は見たままに記憶されるとは限らない
見慣れた景色がふと別のものに見えたり、かつて訪れた場所が記憶の中で違う姿を帯びていたりすることがあります。初めて目にした風景に、どこか懐かしさを覚えることもあります。今回の展覧会は、こうした風景と記憶が出会うときの感覚を出発点にしています。
紹介されるのは、風景を写実的に再現するのではなく、自分自身との関係の中で捉えて表現する二人のアーティストです。佐野は、実在する風景がふと見せた普段とは異なる一面を切り取り、鑑賞者に余韻や余白を残します。ocaveは、実際に見た風景を記憶と重ね合わせながら再構成します。二人の作品を通じて、目の前の景色と、それを見る人の感覚や記憶との関係に光をあてる企画です。
佐野直:無数の点と余白で浮かび上がる情景
1987年熊本生まれの佐野直は、自ら実際に訪れた場所を描くことを制作上のルールとしています。今回出品されるのは、茶畑や棚田がつくる幾何学模様と規則的なリズム、水面に映り込む景色が生む色や形のコントラスト、干潟に見られる自然の造形と人の営みが重なって生まれた形など、各地で出会った風景を描いた作品です。描く部分と描かない部分を選びながら無数の点を緻密に重ね、身近な風景の中に見いだした意外な構造や表情を浮かび上がらせています。
描かれているのは実在する場所ですが、佐野独自の視点で切り取られた風景は、見慣れた景色とは別の何かにも見えるような、どこか抽象的な美しさを帯びて立ち現れます。佐野自身も表現を『風景画』という枠に限定しておらず、時間や天候によって移ろう景色の変化を捉えながら、あえて余白を残すことで、鑑賞者が自由に想像を広げられる空間をつくっています。これまでに「VOCA展2019」(上野の森美術館)などに参加し、2017年には第9回香梅アートアワードで奨励賞を受賞しています。
ocave:旅先の空気を織り込むテキスタイル
ocaveは1986年生まれ、東京を拠点とするテキスタイルアーティストです。日常や旅先、アーティスト・イン・レジデンスの滞在先で出会った自然や風景、日々の暮らしの経験をもとに作品を制作しています。ウールやコットンを用いた織りや、切り分けたフェルトの再構成など、滞在した土地で受け取った空気感に合わせて素材や表現手法を選んでいます。繊維の重なりが生む立体感や、水彩画のにじみやぼかしを思わせる柔らかな色の広がりから現れるのは、その場所で感じた光や色、時間と共に変化していく記憶が織り交ぜられた風景です。
2024年にはフィンランド、2025年にはアイスランド、2026年にはブルガリアで滞在制作を行っています。フィンランドで制作した作品では、白や黒、彩度を抑えた色調を選び、凛とした冷たい空気をまといながら、北欧の静けさや穏やかな情緒を表現しています。一方、ブルガリアで制作した作品は、暖かな光と空気を捉え、雄大な山々や景色をモチーフに、大らかで自由な広がりを感じさせる仕上がりです。

開催概要と作品の購入方法
- タイトル:memento
- 期間:2026年11月21日(土)〜12月20日(日)
- 在廊日:佐野直/11月21日(土)
- 開館時間:11:00〜19:00(最終日のみ17:00終了)
- 定休日:火曜日
- 場所:YUGEN Gallery FUKUOKA(福岡県福岡市中央区大名2-1-4 ステージ1西通り4F)
- 入場料:無料
作家の在廊スケジュールの詳細は決まり次第更新され、最新情報はギャラリーのInstagramで告知されます。また、展覧会の開催と同時に、YUGEN Gallery公式オンラインストアで二人の作品の閲覧と購入ができるようになります。
会場のYUGEN Galleryは、株式会社ジーンが運営する、2022年2月設立の日本の現代アート専門ギャラリーです。東京・南青山と福岡・天神の2か所に拠点を置き、公式サイトでは日本語と英語の両方で作品のオンライン販売も行っています。
出典:株式会社ジーン