新潮社の日記本『マイブック』の2027年版が、今年も発売直後に重版となりました。1999年の秋に初めて刊行され、手帳や日記として使える「白い文庫本」の先駆けとなったロングセラーで、累計発行部数は300万部を超えています。Z世代を中心とした「日記界隈」の支持も追い風となり、昨年は24年ぶりに18万部を突破しました。今年は海外の書店でも第1位の獲得が相次いでいます。

中身は日付と曜日だけ、使い方は自由な一冊
『マイブック』の中面に印刷されているのは、日付と曜日だけです。日記、手帳、備忘録など、どう使うかは持ち主に委ねられており、世界に一冊だけの「自分の本」をつくるというコンセプトになっています。書き込みやすいよう、通常の文庫よりもしっかり開く製本方法が採用されています。
手帳や文具ではなく、一冊の「本」として日々を記録できる点が魅力とされています。新潮文庫ならではのスピン(栞)がつくる昔ながらの雰囲気に加え、白紙なので縦書きでも横書きでも書けるほか、絵を描いたり、シールやチケットを貼ったりと自由にカスタマイズできることも人気の理由です。価格はワンコインの税込572円で、気軽に始めやすい点も支持を集める理由の一つとなっています。

ブームを牽引する「日記界隈」と若い世代
直近2年間は購買層の約3割が20代以下
日記やジャーナリングが世界的に広がる中、『マイブック』は若い世代を中心に人気を集めています。ブームとなった直近2年間では、購買層の約3割を20代以下が占めており、日々の出来事を記録するライフスタイルが幅広い世代に浸透しています。
デジタルから少し離れ、自分と向き合う時間
背景には、SNSが日常に深く根づいたZ世代の「デジタルから少し離れ、自分自身と向き合いたい」というニーズがあります。SNSで日記を共有する「日記界隈」の投稿がブームのきっかけとなり、『マイブック』の認知拡大につながりました。一方で、SNSを見て購入した人の多くは自ら発信するのではなく、自分のために日々の出来事や気持ちを記録しているといいます。デジタルにあふれる時代だからこそ、手書きで「今」を残し、頭や心を整理するアナログな習慣が支持されています。

東アジアで人気沸騰、海外書店で第1位を続々獲得
海外での売れ行きも伸びており、2026年版は海外で1万部以上を売り上げました。特に東アジア地域での人気が突出しており、その半数を占める中国では、SNS「小紅書(シャオホンシュー)」でのライブコマースをきっかけに人気が急上昇。現地のユーザーも日本と同様に、自由にカスタマイズして活用している様子がみられます。
今年は発売前の時点から、昨年の発売前時点の2倍を超える注文が海外書店から殺到しました。中でも韓国での売上急増が目立っており、主要書店「教保文庫」では、発売から一か月経たない現時点で昨年版の累計売上の1.7倍をすでに販売し、週間ベストランキングで第1位(日本書籍部門)を獲得しています。韓国では手書きや書き写しを楽しむ「ライティングヒップ」と呼ばれるトレンドも広がっており、日々の記録を自由に綴れる『マイブック』の人気を後押ししていると考えられるとのことです。
台湾でも、主要書店であるジュンク堂書店台北明曜店とジュンク堂書店ららぽーと台北南港店の週間ベストランキング(日本書籍部門)で第1位を獲得しました。10~20代を中心に、日記だけでなく、コーデやアイデアメモといった手帳的な日常の記録としても使われています。

初回限定のオリジナルしおり付き、書籍データ
初回分には、新潮文庫の名作を引用したオリジナルしおりが封入されています(全4種・ランダム)。なお『マイブック』は1999年の初刊行以来、アートディレクターの大貫卓也さんが企画・デザインを手がけています。新潮社は、読者から集まった実際の使用例を紹介しているほか、大貫さんに刊行当時の話を聞いた刊行秘話も公開しています。
- タイトル:マイブック―2027年の記録―
- 著者名:大貫卓也/企画・デザイン
- 発売日:2026年9月28日
- 造本:文庫
- 定価:572円(税込)
- ISBN:978-4-10-120879-4
出典:株式会社新潮社