2024年2月読書メーターまとめ

2月の読書メーター
読んだ本の数:29
読んだページ数:11166
ナイス数:779

邪悪の家 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)邪悪の家 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)感想
解説はミステリ作家の石崎幸二さん。女子高生ふたりを交えての座談会という形の解説だった。座談会の内容はともあれ、J・K(女子高生)というチョイスがこの作品にとてもマッチしていたように思われます。今回はヘイスティングズが語り手として登場しておりました。やっぱりポアロにいじられる彼がいないともうだめ。ヘイスティングズ中毒。邪悪とタイトルにあるので、ホラーテイストかと思ったけれど違う感じです。殺人の動機はやっぱり財産、金であった。嘘つきはなんたらのとはよく言ったもので、悪しき心にとらわれるきっかけになりかねない。
読了日:02月29日 著者:アガサ・クリスティー
青列車の秘密 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)青列車の秘密 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)感想
登場人物があらかた出揃い状況把握(どろどろ)が完了したところで、表題の青列車(ブルートレイン)へと舞台が移る。事件が起きるにはばっちりのシチュエーション。胸高鳴る。直近で読んだ著者の作品が冒険もの中心だったせいか、やや刺激が足りないと感じる。しかし、列車の中にポアロがいるのを知ったときは胸躍る気分になりました。お金、宝石。怖いのう。悪女ミレーユも狂っとって怖かったなあ。主要な登場人物のひとりが聖母のような女性。割と無用心な彼女に序盤やきもきする。後半ではその男でほんとにええんか、という展開。どうか幸せに。
読了日:02月28日 著者:アガサ・クリスティー
城 (新潮文庫)城 (新潮文庫)感想
読み終わったあと、目次をながめる。なんだろう。なにか懐かしさのような妙な気持ちが湧き上がってくる。長い旅路だった。旅物語ではないのだけれど。登場人物の一部がすごく喋る喋る止まらない。んで主人公Kが反論する。こちらもだいぶ言い返す。そしてこじれる。こじらせの国から来たこじらせの王子様。素直に納得してうまく話を運ぼうとはしない。これが実存主義の一端なのか。本当はカフカ氏の「変身」を読むつもりだったけど楽しめた。長い小説で疲れたけど読み切れたのが不思議。ほんとに不思議に思う。「変身」への期待がちと高まりました。
読了日:02月27日 著者:フランツ・カフカ
ビッグ4 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)ビッグ4 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)感想
先日読んだ「七つの時計」のような冒険譚。ビッグ4。それは世界制覇を目論む謎に包まれた天才的犯罪集団。ある日、ポアロの元に”予期しない客”が訪れる。彼はビッグ4に関するメッセージを残して息を引き取った。やにわに名探偵ポアロとビッグ4との頭脳戦が幕を開ける。ビッグ4のメンバーは4人。その中で殺しを担当しているのは、ナンバー4と呼ばれる人物である。この扮装の達人であるナンバー4に何度も出し抜かれるポアロとヘイスティングズ。そう、ヘイスティングズ。そのヘイスティングズが、今作では事件解決に大きく貢献しま・・した?
読了日:02月26日 著者:アガサ・クリスティー
七つの時計 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)七つの時計 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)感想
乱歩氏の「少年探偵団」シリーズを思い出すような、ワクワク感のある作品でした。淡々と事件を解いていく作品もいいけど、こういうのもいいですね。なにより、謎を追いかけるのが若者たち中心で瑞々しかった。若者たちが仲間の1人(お寝坊さん)をたくさんの目覚まし時計で驚かそうと企てる。けど、目覚まし時計がけたたましく鳴り響いても彼は起きてこない。ビックリさせようとしたら逆にビックリする出来事になっていた。という冒頭。探偵団?の活躍、ナイスアシストするバトル警視。そして終盤、秘密結社と真犯人逮捕で今度はこちらがビックリ。
読了日:02月25日 著者:アガサ・クリスティー
空飛ぶ広報室 (幻冬舎文庫)空飛ぶ広報室 (幻冬舎文庫)感想
もしかしたら一度読んだことがあるかもしれない。ドラマも観たような気がする。新垣結衣さんが浮かんだのでたぶん知ってた。”小説は登場人物の(様々な意味での)成長記である”という文をどこかで見たのを思い出す。もちろんすべての作品がそれにあてはまるものではないのでしょうが、この作品に関してはガッチリその型にはまっていた気がします。さらには国民と自衛隊と報道の関係性を考えさせられたのも印象深く、最後の災害時の自衛隊の話はとても胸に響きました。もう少し華やかな締めを願う気持ちもありましたが、この終わり方でいいのかも。
読了日:02月24日 著者:有川 浩
チムニーズ館の秘密 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)チムニーズ館の秘密 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)感想
バトル警視初登場作品ということでこの作品を読みました。でもなにか違和感を感じる。バトル警視が現場に到着してから終盤まで切れのある洞察力を何度も見せてくれるのですが、主役感が全然ない。その違和感を抱えたまま最終局面チムニーズ館へ。そしてすべてが明かされる。2件の殺人の謎解き、そして宝石泥棒の正体と狙われた宝物のありか。もうどれが誰で誰がほんとは誰でとかで大混乱しました。ややこしくない物語がいいです私・・と真剣に思ってしまう。何よりもバトル警視はおそらく主役ではなかった。次こそは彼を中心にした物語を読みたい。
読了日:02月23日 著者:アガサ・クリスティー
死神の浮力死神の浮力感想
先日読んだ死神の精度の記憶がまだ新しいうちに続編を。殺された娘の復讐のために動く夫と妻。そこへカンフル剤兼コミカル担当の死神千葉さんが仲間入り。あぶなっかしい夫妻はなにかと助けられ、人を呪わば穴二つになるはずの復讐劇にはあたたかな陽気が射し込む。あいにく誰かのせいで舞台は雨続きだけども。死神の精度は連作短編、こちらは長編で趣がすこし異なり違う面白さがあった。千葉さんと調査対象者との長い絡みがあっての結末は連作短編とはまた違った良さがあったように思える。また、読者は参勤交代通として蘊蓄を語れるようにもなる。
読了日:02月22日 著者:伊坂 幸太郎
アクロイド殺し (ハヤカワ文庫 クリスティー文庫 3)アクロイド殺し (ハヤカワ文庫 クリスティー文庫 3)感想
文庫にしてはボリュームがある。タイトルをよく目にしていたアガサ女史の作品だったので期待で心が躍る。しかし、期待の要因のひとつであるヘイスティングズがいない。どうやら今回はポアロと一緒にはいないという。ちょっとテンションが落ちる私。しかし語り手自体はいるので、その人とポアロとの絡み合いを楽しもうと読み進めた。序盤で嫌な予感をうっすら感じる。これって大多数の読者が感じてしまうのではないかと思った。ミステリー好きな人ならなおさらピンとくるかもしれない。なぜこの作品の名が知れ渡っているのか、わかった気がする結末。
読了日:02月21日 著者:アガサ クリスティー
理由理由感想
ひとつの事件は被疑者・被害者だけでなく、実際は多くの人が関わっている。ドキュメンタリー風だからなのか、そこが新鮮だった。関係者の人生の何かしらが事件の要因・引き金になった、とは言い切れない。言い切れないけど、誰かのせいにして気を晴らしたくなる。関係者同士にはなにかしら情のようなものがあるのに対し、関係のない者たちの言行は冷たく無慈悲だと思ってしまう。正直、途中で読むのを挫折しかけました。しかし、とある家族の内情が私自身と重なってしまって。最後まで見届けようと読み続け、そしてその最後にただただ虚しくなった。
読了日:02月20日 著者:宮部 みゆき
黒い家 (角川ホラー文庫 45-2)黒い家 (角川ホラー文庫 45-2)感想
読む前に表紙をしばし眺める。なんだか不気味だ。読み終えてから再度見る。いろいろ勘ぐってしまう気持ちが抑えきれない。右側にぶら下がってるのはあの人のツナギと手袋、手前の椅子はあの子のときに使われたものだろうか。左が狩る側で、右が狩られた側にも見える。物語の中心となっている生命保険まわりの話。知識がほぼありませんでしたが、不思議と置いてきぼりにはならなかった。序盤は保険屋さんの大変さを感じるだけだった。しかし、黒い家訪問から一気に不穏になる。終盤は主人公の悪手に「何してんねん」となりながらも、手に汗握る展開。
読了日:02月19日 著者:貴志 祐介
月光ゲーム―Yの悲劇'88 (創元推理文庫) (創元推理文庫 M あ 2-1)月光ゲーム―Yの悲劇’88 (創元推理文庫) (創元推理文庫 M あ 2-1)感想
「平成のエラリー・クイーン」と言われる彼の作品を読むのは初めて。何よりも噴火が起きたことが予想外で驚きでした。これがあるのとないとでだいぶ違ってくるんじゃないかと感じる。殺害のきっかけにもなったんじゃないかと思った。終盤著者からの挑戦状を受けて無理くり推理はしてみたものの、私の推理は見事ハズレました。気になるタイトルの「’88 」。本書出版への経緯とともにあとがきに記されていた。乱歩賞に落ちたが、導かれるように出版されるに至ったという内容だった。その導きが月光の、月の魔力だったのならなんだかドラマチック。
読了日:02月18日 著者:有栖川 有栖
最後は臼が笑う (Kindle Single)最後は臼が笑う (Kindle Single)感想
風に舞い上がるビニールシート、ならぬ宙に舞う八郎(仮)。「Kindle Single」なる見慣れない電子書籍のジャンルで気になって読んだ。どうやら短編などの書籍にするには短い作品を、電子書籍として出版しているようです。以前に作品を読んだことのある森絵都さん。この作品を読んでみたことで、他の作品も読んでみたいと強く思いました。短編を一話のみ収録しているものなので短い時間でサッと読めます。疲れてはいるけど、なにかしら気分転換に読みたいときにおすすめ。その内容は思った以上に面白く、関西ならばありえると思うオチ。
読了日:02月17日 著者:森 絵都
invert 城塚翡翠倒叙集invert 城塚翡翠倒叙集感想
今度は騙されないと意気込み、またしてもやられてしまう。倒叙集として三話収録されていました。最後三話目の「信用ならない目撃者」が一番印象的で、タイトルの”invert(反転)”はこの話の後半の展開を表しているのだろうとも思う。一話と二話も面白く、全話を通じて古畑任三郎っぽさを感じた。そして何より!著者のデビュー作「午前零時の~」を読んだ人にはわかるネタが仕込まれ、さらにあの娘がカメオ出演しておりました。これはなんか変に嬉しかったです。にしても城塚翡翠にというよりは、著者にずっと騙され続けている気がしてきた。
読了日:02月16日 著者:相沢 沙呼
絶望名人カフカの人生論 (新潮文庫)絶望名人カフカの人生論 (新潮文庫)感想
父親との価値観の違いを感じながらも、父親に合わせようと努力してみる。それが嫌。ふいに哲学者キルケゴールの「死に至る病」が頭をかすめる。そんなカフカの手記の数々。何もかもに絶望した人こそが、今絶望の淵にある人に寄り添える。まだカフカ氏の著書を読んだことはない。こんなことを日常考えている人が生み出す作品。興味が湧きますね。「変身」なる作品が有名どころのようだ。ただその代表作「変身」に対してもカフカはネガティブな想いを日記に綴っている。本人いわく”不完全”。もしかして日記のほうが面白いのではないかと思えてきた。
読了日:02月15日 著者:フランツ カフカ
カラスの親指 by rule of CROW’s thumbカラスの親指 by rule of CROW’s thumb感想
コナン・ドイル「緋色の研究」からの引用で始まる。どういう意図で引用したのか、読んだ後でもわからない。気になる。なんだろう、著者の勝利者宣言なのかな。緋色の研究は、とある男の復讐のために起こった事件。そんな作品だった記憶がある。本作もそれに近い感じ、、と思いきやひっくり返される。騙されたまま終わっても、きっと納得できるような気がする。それほど「一度目」の幕引きは満足できるものだったと思います。そこからさらに最後の謎解き編スタートはひさしぶりに痺れた。少し長めの作品でしたが、クロウして読んだ甲斐がありました。
読了日:02月14日 著者:道尾 秀介
GOSICK II ゴシック・ その罪は名もなき (角川文庫)GOSICK II ゴシック・ その罪は名もなき (角川文庫)感想
今回の表紙の一文。”La petite fille de la fontaine de sagesse essaye de résoudre un cas dans le village du loup gris”「知恵の泉の少女は、灰色狼の村で起きた事件を解決しようとする(DeepL翻訳)」。内容はまんまこれ。この巻で少しだけヴィクトリカの謎が明かされる。巻末の解説でわかったのだけれど、ヴィクトリカ嬢が14歳、久城一弥くんは15歳。思ったよりも若かった。二人が時折見せる子供っぽい言い合いにもこれで納得。
読了日:02月13日 著者:桜庭 一樹
ニコマコス倫理学〈下〉 (岩波文庫 青 604-2)ニコマコス倫理学〈下〉 (岩波文庫 青 604-2)感想
このニコマコス倫理学の他に「エウデモス倫理学」という書物もあるらしい。一部はニコマコス倫理学と同内容だという。詳しく本書の解説に書かれていたが、この解説までもが小難しい。思えば、上下巻を通して難解な単語が多かったように思える。Googleレンズがなければ読みも意味もわからないものばかりだった。こういった古典を読むとたいてい、わからない語句でひっかかります。でもそれが一番の学びになっているような気もする。一度見て調べただけで頭に定着はしないけど、この繰り返しで古典を読み解く自力がつくものだと信じてやまない。
読了日:02月12日 著者:アリストテレス
ニコマコス倫理学(アリストテレス) 上 (岩波文庫 青 604-1)ニコマコス倫理学(アリストテレス) 上 (岩波文庫 青 604-1)感想
”古代ギリシアの哲学者アリストテレスの倫理学に関する著作群を、息子のニコマコスらが編纂しまとめた書物である(Wiki)”。難しさに苦戦しつつ読んでいると、たびたび「中庸」という単語が出てくる。偏らず、過不足なく調和がとれていることの意味らしい。よきこと、は突き詰めるとなんなのか。過超と不足。その間の「中庸」を目指せば、よきことに近づけるのか?ちょっと読み解けなくてもどかしい。倫理と聞くと正悪が頭に浮かぶけど、正悪の間に「どちらでもない名称のないもの」が存在する。そこが重要なのかどうなのか下巻でまた悩もう。
読了日:02月11日 著者:アリストテレス
ダイナー (ポプラ文庫)ダイナー (ポプラ文庫)感想
ちょっと厚めの文庫ではあるけれど一気読み頑張った。すっごい内容も相まって、ぐったりしております。映画の方を先に観ていまして、メインヒロイン「オオバカ ナ コ」が玉城ティナさんであるのをはっきりと覚えています。ダイナーの店長、ボンベロは藤原竜也さん。映画の内容自体はあまり覚えていませんが、少し小説版とは異なっているような気がします。でも、どちらも面白いなと感じました。映画は映像で見るダイナーと殺し屋たちの描写がエキセントリックでよかったし、小説はヒロインに降りかかる試練が突き抜けていて逆に愉快になってくる。
読了日:02月10日 著者:平山 夢明
告白告白感想
中学生、中学生の子を持つ親、中学校教諭。対象となる人にこの作品を読ませたら、登場人物それぞれに対して一体何を感じるだろう。すべてが、いや一部が悪?正しいと思える人物がいる?自分がもしも人を、、と考える。自分がどうなってしまうのか、想像がつかない。その想像がつかないところを、少しだけ垣間見ることができる作品ではないかと私は思う。架空の世界の話であるけれど、行き過ぎたりタガが外れれば現実に起こり得る可能性だってあるはず。そのとき傍観するだけの立場なのか、当事者になるのかは誰にもわからない。ありうべき物語かも。
読了日:02月09日 著者:湊 かなえ
オーデュボンの祈り (新潮ミステリー倶楽部)オーデュボンの祈り (新潮ミステリー倶楽部)感想
タイトルから内容が想像できなくて不安でしたが、読み始めて数分後にその不安は見事迷子になりました。でも幸運(?)なことに主人公も序盤から迷子っぽい感じだったのでヨシと思うことにする。振り返ると、序盤でちょっと心折れそうだったなと思う。人物名が覚えやすかったのが私にとっては救いでした。現実と非現実との間のようなあいまいなところに感じる狂気。さらにそこへ別な狂気が迫ってくるWパンチ仕様。なんとなくですが、この後の伊坂氏の作品に通ずるテーマみたいなものに触れた気がします。絶望回避するのかしないのか終盤は緊張した。
読了日:02月08日 著者:伊坂 幸太郎
ゴルフ場殺人事件 (ハヤカワ文庫 クリスティー文庫 2)ゴルフ場殺人事件 (ハヤカワ文庫 クリスティー文庫 2)感想
推理小説を読むとき、いつも謎を解いてやるぞという気合を入れて望む。しかし、ポアロの友人ヘイスティングズ氏のようにというかそれより低いレベルの推理しかできません。でも謎に翻弄されつつ楽しめるという利点(と思うようにしている)もある、かな。ちいさく弱き灰色の脳細胞。推理には不向きではあるけれど、アガサ女史が事件と並行して展開させる人情話が好きである。おてんばなシンデレラとヘイスティングズ、そしてそれよりなにより”恋のキューピッド”ポアロおじさん。第1作目よりも読み応えがあった。次こそは推理で楽しめますように。
読了日:02月07日 著者:アガサ クリスティー
談志 最後の落語論談志 最後の落語論感想
「志村けんさんが死んだことが信じられない、まだ生きてるような気がする」という、つぶやきをどこかで見た。死してなお人の心に残っている、生きているということなのでしょうか。2023年で13回忌であった立川談志師匠。私は落語家さんといえば、すぐ談志師匠を思い浮かべます。でも、師匠の落語を聞いたのは亡くなって数年経ってからでした。そこがとても残念でならない。落語の枕で時事問題をよくイジっていた師匠。世の中を騒がす何かが起きたとき、師匠がいればなんて言っただろうと今でもよく思う。内容は重くないです。師匠そのまんま。
読了日:02月06日 著者:立川談志
GOSICK ―ゴシック― (角川文庫)GOSICK ―ゴシック― (角川文庫)感想
アニメで観たことがあるシリーズ。なんとなく小説でも楽しめそうな感じがしてたので読んでみた。ヴィクトリカのセリフはもれなくすべて悠木碧さんで脳内再生。この第一巻の内容に関しては、(記憶の中での)アニメ版との差異は感じられませんでした。読む前から気になっていた、文庫本表紙下部の文。フランス語っぽかったのでDeepL翻訳してみた。すると、「知恵の泉から来た少女と東から来た少年の物語」となった。少女と少年。この二人が、探偵と助手という関係だけにはちょっと収まりそうもないことを予感させる。続きも読んでみようと思う。
読了日:02月05日 著者:桜庭 一樹
死神の精度死神の精度感想
人間がもしも痛みも恐怖も感じない死神のような存在だったなら、いったいどんな世の中になっていたのだろう。何事にも動じない人に憧れたりもするけれど、でもやっぱり人間臭さに愛しさを感じることもある。あれこれ悩んだり、もがき苦しむからこそミュージックなどは生まれたのかもしれない。人が発する言葉の機微をなかなか感じ取れない死神にも、ミュージックは受け入れてもらえる。なんだかそれって素敵だなと思ったり。いくつかの短編が繋がりを持っていて、ちょっと幸せな気分になる。クローズド・サークルものには個人的に盛り上がりました。
読了日:02月04日 著者:伊坂 幸太郎
スタイルズ荘の怪事件 (ハヤカワ文庫 クリスティー文庫 1)スタイルズ荘の怪事件 (ハヤカワ文庫 クリスティー文庫 1)感想
著名な推理小説シリーズをイチから読んでみよう。アガサ女史のオマージュ作品などを読む際、実際読んでいないとどこがそうなのかわからないことがある。それを少しでも減らせたらいいな、と。エルキュール・ポアロ初登場の本作。幼い頃にTVドラマを観ていた。ガチガチの紳士のイメージで読もうとしたらなんか違う。推理をさせたらのめり込む変なおっちゃんだった。友人ヘイスティングズとの絡みもいい。前半は頭の中で登場人物の整理をするのが大変でしたが、中盤後半と話に引き込まれました。殺人事件の解決だけでは終わらないのがドラマチック。
読了日:02月03日 著者:アガサ クリスティー
探偵ガリレオ (文春文庫 ひ 13-2)探偵ガリレオ (文春文庫 ひ 13-2)感想
探偵ガリレオ登場。記念すべき作品を読む日がキタ。「容疑者Xの献身」を読んだ日からずっと、このシリーズをはじめから追いかけたいと思っていました。短編を五話収録。ひとつひとつの事件の謎解きが軽快で面白い。すぐに読み終わってしまいました。作品内で登場した現象の解説を見ていると実際に試してみたくなります。文庫版の解説は俳優、佐野史郎氏です。その解説にて、東野氏が探偵ガリレオを佐野さんのイメージで描いていたという記述があり驚く。佐野さんでガリレオが映像化していた可能性もあったのかな。朗読などで実現したら面白いかも。
読了日:02月02日 著者:東野 圭吾
羆嵐 (新潮文庫)羆嵐 (新潮文庫)感想
北海道は食べ物がおいしい、とよく耳にする。今の時期が冬だからなのか、それとも作品が感じさせているのか。読んでいると寒い。北海道、某地域。ほそぼそと暮らす開拓民の村にそいつは予告なく現れた。飼われている動物と触れ合うことはあっても、野生の獣に遭遇することはほぼ無い。そんな生活を送る私にとっては恐ろしすぎる話です。眼前に羆が迫る状況。その恐怖は計り知れない。実際の事件を元にしているのもあり描写が細かく、心が凍りつくほどに凄惨で無力感に包まれる。人と獣、生けるものすべての命は儚く一瞬で散る。暖かくして、寝よう。
読了日:02月01日 著者:吉村 昭

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