2024年3月読書メーターまとめ

3月の読書メーター
読んだ本の数:31
読んだページ数:11348
ナイス数:878

ヨルガオ殺人事件 下 (創元推理文庫)ヨルガオ殺人事件 下 (創元推理文庫)感想
お疲れ様だよスーザン。もうアラン・コンウェイに悩まされることがないように願う。だけど、著者ならまたさらに書けたりするんじゃないかとちょっと期待。あったらいいな続編。今回もアンドレアスがかっこよかった。カササギ殺人事件では私は彼を当初疑っていた。ごめんよ。助手役じゃないけどすごく大事なところで助けてくれるヒーローです。それにしても表題のヨルガオが『夜の顔』の意味でつけられたんじゃないかと思えてくるほど、次々と隠れた床事情が明らかになっていく。なんか色々頭の中ごっちゃごちゃになった作品。やっぱアランは好かん。
読了日:03月31日 著者:アンソニー・ホロヴィッツ
ヨルガオ殺人事件 上 (創元推理文庫)ヨルガオ殺人事件 上 (創元推理文庫)感想
はやく読んでくれ。その本がきっかけならまずはそれを読もう。って読者も一緒に読まされるんかい。途中までは失礼ながら退屈で退屈でしょうがなかったんです。後半に入ってようやく目が覚める感じ。そんな展開があったおかげで、そこから俄然読みたい気持ちがあふれてきた。『カササギ殺人事件』はとても難解なストーリーだった記憶がある。あのときは新鮮さが勝っていたけど、今回は「またか・・頭が追いつかんぞこれは」と絶望感が押し寄せてくる。まだ下巻がある。白旗を上げて読むがままにまかせるか、ちょっと食い下がってみるか。どうしよう。
読了日:03月30日 著者:アンソニー・ホロヴィッツ
メインテーマは殺人 (創元推理文庫)メインテーマは殺人 (創元推理文庫)感想
そりゃないよトニ―。金絡みか!いや、ちがう恨みか!え、ちょっとまってそれ関係ないの!?・・もうやだ(思考停止)。お初のこの探偵(刑事捜査請負業?)は今のところあまり好きになれないけど、切れ者だと感じるところはあった。著者の最新作がこのシリーズの続編のようなのでもう少し追ってみようかなと思う。ずっとこのスタイルでいくのかも気になります。ゲスト出演(?)が豪華なのも続いていくのでしょうか。納得できないというか理解できないままあっさりと結末を迎えましたが、ティブス氏が無事だったのでそれでヨシということにしたい。
読了日:03月29日 著者:アンソニー・ホロヴィッツ
プロジェクト・ヘイル・メアリー 下プロジェクト・ヘイル・メアリー 下感想
上巻を読み終えてから少し間が空いたけれど、未知との遭遇(お互いに)という上巻の興奮をすぐに思い出した。私にとっても未体験の展開であったように感じます。読みはじめから、いったいどんな結末を迎えるのかワクワクが止まりませんでした。彼らはお互いに助け合いながら、同じ目的のために奮闘する。言葉も見た目も生まれた星も違う両者が通じ合う、人類の宇宙への夢が結集したような最高の流れ。異物として互いに傷つけ合ってしまうSFに慣れた心が浄化されていく。顔から水が洩れ出そう。結末に私は満足しています。イエス!ワオ!しあわせ。
読了日:03月28日 著者:アンディ・ウィアー
成瀬は信じた道をいく成瀬は信じた道をいく感想
連作短編集で五話収録。表紙の子が表紙の格好のまんまで暮れの大一番に鮮やかなけん玉を披露する。これは想像がつかなかった。観光大使姿が堂々としすぎているところが彼女らしい。どの話が一番おもしろかっただろうか。どれもよかったけど『やめたいクレーマー』が私的には一番。ダイスケ的にはじゃなくて西川さん的には『ときめきっ子タイム』だろうなあ。ついにスマホを手にした成瀬がSNSデビュー。成瀬構文にちょっと笑った。気のせいかもしれないけど、電子版巻末の底本の注記が成瀬構文に見えてしょうがない。これはもしか粋な計らいかな。
読了日:03月27日 著者:宮島 未奈
変身 (新潮文庫)変身 (新潮文庫)感想
少し前にカフカ氏の『城』を読んだ。さして進展しない話と妙な長さの物語にもうどうにでもなれとさじを投げたのを思い出す。さあどうなる。うん。なんか虫になったんだねカワイソ。では終われない悲しさに溢れている気がする。某ライダーのような強靭な身体に変身したわけじゃない。彼の身体は林檎でひしゃげるぐらい脆弱なもの。外骨格の甲虫のごとく仕事に耐え忍んできた男が芋虫さながらの弱き存在になってしまう。職はもちろん家族も徐々に離れていく。そして虫は虫のままくたばる。家族はウェーイ。うーん。もう一度読み直したほうがいいのか。
読了日:03月26日 著者:フランツ・カフカ
数理モデル思考で紐解く RULE DESIGN -組織と人の行動を科学する-数理モデル思考で紐解く RULE DESIGN -組織と人の行動を科学する-感想
数理モデル”思考で”紐解く。数理モデルに焦点を置いて学ぶ本ではありませんでした。社会、組織、あるいは家庭でルールが遵守されない陰にはどういった要因が潜んでいるのかを具体例を通して学ぶ。マシュー・サイド氏の『失敗の科学』とも繋がりがありそうな話題がいくつかある。私には一つ一つの例がとてもわかり易い文章で示されていたように感じられました。集団に属すれば属するほどに多くのジレンマを抱えて生きていくようになる。ヒトの行動心理を学ぶことは、そのジレンマを解消する一助になると私は考える。この分野はさらに深く学びたい。
読了日:03月25日 著者:江崎 貴裕
僕が死んだあの森僕が死んだあの森感想
森は好きじゃない。いや怖い。幼い頃、近所の森で正体不明の何かに頭を噛まれて以来怖くなった。振り返らず一目散で家に帰って、毒らしきものにしばらくうなされた。今日が自分の命日だと思い、痛さより怖かった記憶。海の中も怖いけれど今のところは森のほうが怖い。海外の森って樹木の背が高くて見通しが良さげで、なんとなく入りやすそう。獣がいるだろうな。森に秘密基地作ったり、カッとして友人を枝で殴りつけたり。ありそうな話。何かに噛まれたぐらいであんなに怖いのに、幼いながらに罪を背負うってどれだけの怖さなのだろう。つらすぎる。
読了日:03月24日 著者:ピエール・ルメートル
双頭の悪魔 (黄金の13)双頭の悪魔 (黄金の13)感想
前作『孤島パズル』でおそらく多くの読者から心配された彼女が帰ってくる。もう冒頭から嬉しくてしょうがない。おかえりマリア、いやなにしてんのマリア。マリアの両親から娘を連れ戻して欲しいと依頼を受ける推理小説研究会の面々。彼らはマリアが芸術村とかいう怪しい村に”囚われている”と結論付け、彼女を奪還するため村へと向かう。一方、マリアは自らの意思で村にとどまっていた。踏み出せなくなったのか。ふたたびマリアは事件に巻き込まれていってしまう。プロレス、雨・川・橋コンボ、本から匂いそう、どうして耳が。今作も大変楽しめた。
読了日:03月23日 著者:有栖川 有栖
監禁面接 (文春文庫 ル 6-6)監禁面接 (文春文庫 ル 6-6)感想
失業、仕事したい、家族を悲しませたくない。お金がほしいお金がほしい。還暦を目前にした男が藁をも掴む思いでとある採用試験にすべてを賭ける。自分のすべてどころか家族をも巻き込んでいく。止められない。こんな突き抜けた失業者にお会いしたことはないが、近い将来現れてもおかしくはない・・か?高齢の就職希望者が抱える苦悩や悲しさとぶっ飛んだ展開。最後までなにがあっても変わらなかった妻への愛が救いに思える。でもな、その愛する妻の言うことに応じていればこんなことにはならんかった。賭けには勝ったが、欠けたものはもう戻らない。
読了日:03月22日 著者:ピエール・ルメートル
重力ピエロ重力ピエロ感想
「俺達は最強の家族だ」。かっこいい父親にあこがれる。困難もなんのその。伊坂氏の作品には頻繁に「なるほどな」と思わせるセリフやうんちくが出てくる。勉強になるなと思うセリフはともかく、古代人の話とか確かなものなのかな。でもちゃんと参考文献等が巻末に記されていた。小説という作品を作るために学んで練り上げているのですね。物語より会話に出てくる蘊蓄を覚えておいて、知識人のふりをして人に語りたくなる。ちょっとかっこわるいか。最後、兄弟は重力を感じなくなったのかな。家族みんなで重力の無いところへ。最狂と言えなくもない。
読了日:03月21日 著者:伊坂 幸太郎
死のドレスを花婿に死のドレスを花婿に感想
ショッキングなプロローグはもう慣れたもの。でもつらい。初めはどうも掴めず混乱しそうな感じでした。でも登場人物も混乱していてお仲間同士だ。サスペンス、サイコスリラー?似たような作品があるかもしれないけれど、映像化されたら面白そうです。第二部に入ってからのざわざわ感が特に心に残っている。色々書くことを差し控えたいがひとつ。仔猫に対する仕打ちだけでも死のドレスを纏わせたい気分だ。恥ずかしながらこの作品で知ったのですが、フランスは極刑が行われない国。そういえば著者の他作品にも私刑にあたるものがあったかもしれない。
読了日:03月20日 著者:ピエール・ルメートル
孤島パズル (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書) (創元推理文庫 M あ 2-2)孤島パズル (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書) (創元推理文庫 M あ 2-2)感想
『月光ゲーム Yの悲劇’88』で自然災害の究極、火山噴火によるクローズドサークルを体験してからはや幾日。タイトルから今回は島だとわかります盛り上がりますね。巻末の解説は光原百合さん。愛が溢れすぎて作者へのファンレターとなってしまっているのが面白い。「悲劇の連環を断ち切るためにこそ、江神二郎の論理の刃は振り下ろされる」の一文が特に最高。前作でも今作でも彼は連環を断ち切った。惜しむらくは、犯人に悲しい最後が待っていること。こう書くと人をあやめた者に情などと言われそうだが、どうにもこうにもそう思ってしまうのだ。
読了日:03月19日 著者:有栖川 有栖
空飛ぶ馬 (鮎川哲也と十三の謎)空飛ぶ馬 (鮎川哲也と十三の謎)感想
古き時代を感じる作品でした。語り手が女子大生で謎解きをするのは落語家。落語の演目もいくつか出てきており、落語好きはちびっと心躍るところではないだろうか。鮎川哲也氏が前書きと解説を担当。前書きには鮎川哲也賞の前身となった本シリーズの話などを載せ、解説も楽しく読めた。解説では鮎川氏が作者の性別がどちらなのかに思いを巡らせていてかわいいですよ。日常の謎。連作長編で5話ありましたが、謎解きを理解できたのは「砂糖合戦」だけ。5話それぞれの人間ドラマを見ている感じで読了。落語を容易に鑑賞できる地域の人が羨ましいなあ。
読了日:03月18日 著者:北村 薫
秘密機関(ハヤカワ文庫―クリスティー文庫) (ハヤカワ文庫 クリスティー文庫 47)秘密機関(ハヤカワ文庫―クリスティー文庫) (ハヤカワ文庫 クリスティー文庫 47)感想
ポアロシリーズとはうって変わって若者中心の雰囲気で冒険色が強いように感じた。ちょっとロマンスがあるのもいい刺激。表紙を眺めていると『土曜洋画劇場』のオープニングを思い出してしまう。あと、ジャップ警部の名が出てきたときは興奮しました。セブン・ダイヤルズのような秘密組織的な会合、冒険色が強いのもバトル警視シリーズと近いものがあるなと思います。終盤、著者にうまく引っ掛けられ違う人物を疑ってしまった悔しい。アガサ女史のシリーズもので読んでないのはマープル・シリーズだけとなった。どういう違いがあるのか楽しみである。
読了日:03月17日 著者:アガサ・クリスティー
データ分析のための数理モデル入門 本質をとらえた分析のためにデータ分析のための数理モデル入門 本質をとらえた分析のために感想
著者を知ったのはとあるポッドキャスト。そのポッドキャストのMCもだいぶ賢い方たちですが、それに輪をかけて賢い印象。その頭脳でどんな研究をしているのか知りたくて読んでみた。『入門』となっているので少しはついていける、はず。”数理モデルは「仮定」である”。うん?数理モデルはどのような形で世の役に立っているか、という具体的な事例をあげているわけではなさそうですね。数理モデル自体について学んでいく感じのようだ。もしかしたら「数理モデル思考で紐解くRULE DESIGN」という本のほうが事例は豊富なのかもしれない。
読了日:03月16日 著者:江崎貴裕
われらが痛みの鏡 下 (ハヤカワ・ミステリ文庫 ル 5-6)われらが痛みの鏡 下 (ハヤカワ・ミステリ文庫 ル 5-6)感想
数奇な運命。トンデモ展開が待ってなくてよかった。著者のことだから何かしかけてくるのではないか。内心ドキドキしていたのですが、何事もなくいや何事かはあったのだけれど結末を迎えることが出来た。登場人物の中にいた「神父の名をかたる稀代の詐欺師」。彼が最後に一悶着起こすのではないかと思っていたけれど。でも彼はなんとなく謎なままフェードアウトしてしまった。最後著者の謝辞を読んで事実に基づいた箇所があったことを知る。今もなお世界で起きている紛争。この物語で語られているようなことがどこかで起きていると考えると胸が痛む。
読了日:03月15日 著者:ピエール・ルメートル
われらが痛みの鏡 上 (ハヤカワ・ミステリ文庫 ル 5-5)われらが痛みの鏡 上 (ハヤカワ・ミステリ文庫 ル 5-5)感想
『災厄の子供たち三部作』第三部。第二次世界大戦中、ナチス・ドイツのフランス侵攻を背景に物語が描かれている。中心人物は第一部で登場した無垢で可憐な少女だった。彼女は歳を重ね美しく成長している。だがその美しさの陰に辛い過去を抱えて生きていた。思い出すのは幼い頃に出会った仮面の青年。しかしその彼も母親ももういない。鬱屈した日々のなか、とある老紳士からおもむろに話を持ちかけられる。「君の裸をみたいのだが」。今回もなかなか予想外なものをぶっこんできた著者。このあと上巻にも関わらず、さらに予想外な出来事目白押しです。
読了日:03月14日 著者:ピエール・ルメートル
プロジェクト・ヘイル・メアリー 上プロジェクト・ヘイル・メアリー 上感想
次々と飛び込んでくるサイエンス的な文字の数々にめまいが。しかしそれが逆にワクワクを掻き立ててくれる。『CERN』が作中出てきたときは、あのマッドサイエンティストの高笑いが聞こえた気がした。こういうSF作品もなんだか好きかもしれぬ。目覚めたら記憶喪失でどこにいるかわからない主人公。身動きが取れず、無機質なロボットが語りかけてくる。喋ることもままならない状態からなんとか少しづつ自分の置かれた状況を理解していく。そして断片的に回復する記憶から自分が何者で何を目指しているのかが明らかになっていく。下巻が楽しみ♪♫
読了日:03月13日 著者:アンディ・ウィアー
レーン最後の事件 (角川文庫)レーン最後の事件 (角川文庫)感想
終わってしまう。”ゴードン・ロウがくたびれた様子で言った。「謎が多すぎる!」”。作中、登場人物のひとりが放った言葉に激しく同意してしまう。覚えてる中で挙げるなら、おかしな髭の依頼人、消えた乗客と消えた警備員、チンケなこそ泥、シェイクスピア、手紙の意味深な文字、どっちがどっちなのかそもそもお前は誰だ問題などなど。頭がおかしくなりそう。それになかなか人が死なない。最後まで死なないかと思ったらそうでもない。でも死んだのこれ誰?となる。とりあえずシェイクスピアが原因と思う。彼を狂わせたのも、、いやどうなんだろう。
読了日:03月12日 著者:エラリー・クイーン
それ以上でも、それ以下でもないそれ以上でも、それ以下でもない感想
うまく内容を掴めなかった。戦時下のフランス。ナチスの武装新鋭隊SSに怯える暮らしをしている。SSはナチスに歯向かうレジスタンスをことごとく抹殺するべく動いている。舞台となっているのはレジスタンスの男を匿っている村。しかし、レジスタンスの男は村の誰かによって殺される。誰が何のために?狭い人間関係のなか、彼の死は争いの火種となりかねない。村の神父はある決断をくだす。彼の死体をSSに蹂躙された地区に捨てよう。冒頭の謎は謎なまま、次々と災いばかりがふりかかる。終盤に明かされる謎の答え。なんとか理解できた気がする。
読了日:03月11日 著者:折輝真透
Zの悲劇 (角川文庫)Zの悲劇 (角川文庫)感想
”ところで、『Xの悲劇』と『Yの悲劇』を読むと・・(11p)”。さて、どういうことなのか。冒頭から少し首をかしげる展開。理解してからは将来有望な若者の登場に胸が高まった。解説は法月綸太郎氏。先述の若者も切れ者でしたが、氏の解説からもなにか似たようなものを感じた気がします。今度は彼の作品を読んでみたい。次で悲劇四部作が終わってしまう。後継者になれそうな子も現れた事だし、レーンはなんだか体調が悪そうだし、なんだか良くない考えが頭をめぐります。ここまで来たからには最後まで見守るけれど、やっぱさみしくなっちゃう。
読了日:03月10日 著者:エラリー・クイーン
Yの悲劇 (角川文庫)Yの悲劇 (角川文庫)感想
Yの悲劇、Yが生み出してしまった悲劇。最初の毒物事件、マンダリンで殴られて死んだ鬼婆。三重苦を抱えた女性、ルイーザが犯人の手がかりを伝える。すべすべした肌・・バニラのにおい。ちらちら描かれる気性の激しいお子。レーン氏と同じように、「まさか・・そんな」と感じる読者に私もなりたかった。悲劇に見舞われた一家の謎が明らかになるにつれ、レーン氏は辛い思いを深めていく。この事件は彼にはとてもこたえたのではないかと思う。とあるプロボクサーと鬼婆が酷似しているとの表現があり、デンプシーロールをする鬼婆を想像してしまった。
読了日:03月09日 著者:エラリー・クイーン
炎の色炎の色感想
クライマックスは冒頭だった気がする。おもわず「ええ!?」と声が出ました。裕福な家庭に生まれる・関わりを持つということが、満ち足りた人生に必ずしも繋がるわけじゃない。それでも庶民では届かない価値のある物や人に近づける可能性は高い。冒頭で私の心をかっさらった少年ポール。彼がこの作品で唯一、私の心の拠り所であったように思う。彼が母やまわりの大人たちに悪い意味で染められてしまうことなく、少しでもまっとうな道を歩んでほしいと願わずにいられなかった。前作から続く世界のなかでの物語。今回はやられたらやりかえす系でした。
読了日:03月08日 著者:ピエール ルメートル,Pierre Lemaitre
姑獲鳥の夏 (講談社ノベルス)姑獲鳥の夏 (講談社ノベルス)感想
京極先生初読みでございます。品位を感じさせる美しい文体で語られる物語にペエジを捲る手が止まらない。一見して読めそうにない漢字にルビが大抵ついており救われました。読むうちに自然と語彙が増えそうな面もあると感じる。『天網恢恢疎にして漏らさず』とか何か機会があったら使ってみたくなっちゃいます。怪奇と推理が入り交じる。失踪事件調査から始まり、やや怪奇寄りになりつつ京極堂のお祓い?で驚愕の事態へ。さらに榎木津氏の「これでやっと普通の密室殺人事件になったじゃないか!」からもさらに盛り上がる。心地よい疲れとともに読了。
読了日:03月07日 著者:京極 夏彦
天国でまた会おう(下) (ハヤカワ・ミステリ文庫 ル 5-2)天国でまた会おう(下) (ハヤカワ・ミステリ文庫 ル 5-2)感想
上巻の内容を忘れないうちに下巻を。上巻から登場人物は増えてはいないはず。それぞれの人物に焦点をあてながら場面は次々と切り替わり、どうしようもなく堕ちていく。あいかわらず著者は登場人物に容赦がない様子。戦争から続く翳と苦しみが伝染していくかのように広がっていく。戦争というものを災厄とするのなら、『災厄の子供たち三部作』残り二作も同じように戦争を発端とする物語なのかな。落ちのびた者たちの後日談もあったりするのか。読後、映像化されていたことを知りました。仮面の男の素顔がどう表現されているのか気になるところです。
読了日:03月06日 著者:ピエール ルメートル,Pierre Lemaitre
屍人荘の殺人屍人荘の殺人感想
映画版を観たことがあるので、どういう展開になるかは知っていたつもり。映画には二度ほど挑戦している。まだ最後まで観ていないのだけれど。浜辺美波さん目当てで観始めたのがどうも良くなかったのかもしれない。彼女中心ではなく、もっと作品自体に目を向けたほうがよかったのかなと読後思った次第です。新しい形の「クローズドサークル」。これこそがこの作品の目玉のはず。そこから紡がれる物語が新しい感じ。超展開と言われてもおかしくはない、おかしくはないけれど挑戦的な構成にただただ感心しきり。もう一度、映画鑑賞してみようかな・・。
読了日:03月05日 著者:今村 昌弘
天国でまた会おう(上) (ハヤカワ・ミステリ文庫 ル 5-1)天国でまた会おう(上) (ハヤカワ・ミステリ文庫 ル 5-1)感想
『災厄の子供たち』三部作の一作目で、戦争を扱った作品となってます。前半は痛い描写が多くて嫌な気持ちに。著者は結構な割合で救いがない話を書くので、ここらへんは割り切って読み進めるしかないと思った。この先、希望をチラチラ見せながら裏切ってくるのを覚悟しなければ。中心となる二人の兵士の行く末も気になりますが、元上官、まだ事情を知らない父と姉、元恋人、無垢な少女もどんな道を辿るのか。下巻でいったいどんな驚きが待ち受けているのでしょうか。ハッピーエンドは無いにしても、著者の伝えたいモノを少しでも感じ取れたらいいな。
読了日:03月04日 著者:ピエール ルメートル,Pierre Lemaitre
オリエント急行の殺人 (ハヤカワ文庫 クリスティー文庫 8)オリエント急行の殺人 (ハヤカワ文庫 クリスティー文庫 8)感想
小説の前に映画(2017年)を観てしまっており、楽しめるかちと不安。しかし、映画を観ているにも関わらず内容をほとんど覚えていなかったことに冒頭で気づく。『十二の刺傷』の謎と、ポアロが女性を泣かせていた場面しか記憶にない。いやむしろそれでよかった。私的には作品中の以下の文が印象的。”「いままでずいぶん探偵小説(ロマン・ポリシエ)を読みましたが、これはそんな小説など及びもつかぬ不可解な事件ですね」とコンスタンチン博士が言った”。所謂事実は小説よりも奇なりを小説の中に作り出そうとしたアガサ女史に乾杯。いや完敗。
読了日:03月03日 著者:アガサ クリスティー
成瀬は天下を取りにいく成瀬は天下を取りにいく感想
たびたび表紙と帯を目にして評価が高そうなのが気になって。あとは、なんとなく元気を貰えそうな予感。さらっと読めるページ数。その行く末をずっと見守っていたくなるような魅力的な主人公、成瀬あかり。おかしい、と周りから囁かれるような少女だがブッ飛んでる系の子ではない。みんながやりたいと思ってもやらないことをやっているだけだ。その純粋さに触発されるもよし、好意的に見てもらえなくてもよし。ただ、成瀬は天下を取りにいく。でもちょっとセンチな面も見せちゃうあたりがいじらしい。膳所膳所と何度も繰り返すから覚えてしまったよ。
読了日:03月02日 著者:宮島 未奈
エッジウェア卿の死 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)エッジウェア卿の死 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)感想
被害者が亡くなっていちばん得をするものは誰か。これを頭に置いておけば大抵の謎は解けるはず。解けるはずなのだけど。私はまだまだヘイスティングズ寄りの人間だ・・いや待て待て。彼は今作品でポアロから信頼の言葉を得ている。彼寄りと言うのはおこがましいのかもしれない。ならポアロの”猟犬”ジャップ警部寄りとするのがいいところだろうか。そういえばこのジャップ警部もなかなかいいキャラをしている。警部を合わせた三人がセットだとなんだか良い感じ。とある手紙が犯人へと繋がる手がかりだった本作。が、何書いてるか読めないという罠。
読了日:03月01日 著者:アガサ・クリスティー

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